ホルモン治療 9年 K子ちゃんはT君に

| コメント(5)
【対談】
ホルモン治療9年のFTMさんとノーホルの僕

今週、僕は衝撃の出会いをした。
そう、彼はホルモン歴9年の大先輩 ^^
ここでは、名前をT君(改名前をKちゃん)とさせていただく。
ぼくのように、
ホルモン治療を開始していない、踏みとどまっている人たちには
今までも何人か会って話しをしたことはあったのだが

すでに9年も前から治療を開始しているという人に
じっくりと それも知り合いを通して出会うというのは
はじめての体験だった。

偶然に偶然が重なった今回の出会いだったのだが
なんと、T君は僕の嫁の高校時代の同級生

女子高ではないのだが 当時の彼は当時の僕と同じように
セーラー服を着て 都内の高校に通学していたのだとか。
嫁に見せてもらった卒業アルバムには
改名前、治療前のT君、
つまりK子ちゃんの姿が確かに映っていた。

T君に偶然出会えることになったのは
嫁の部活の友だち(Aさん)が、
偶然とあるバーに飲みに行ったとき,
バーテンダーをしていたT君に 

“どっかで会ったことない?” と話かけられ

はじめAさんは、“チープなナンパの口実だなぁ”と思っていたのだが
高校とか部活とかを言い当てられ 
よ~くよ~く彼の顔を見ていたら
高校時代の友人の面影が彼のなかにあり

“もしやK子ちゃん?” ということになったらしい。

なんともびっくり仰天というか
めぐり合わせというのは不思議である。

この広い大都会のど真ん中で 
深夜のバーカウンター越しに、性別変更後の同級生に出会うなんて
ある意味運命的である。

そして、僕の嫁とAさんも 最近までまったくといっていいほど
疎遠になっていた。

しかし、Aさんが嫁の別の友人に、これまた大都会の路上で
偶然再会したことがきっかけで、
Aさんと嫁は久しぶりの再会を果たす。
ともに離婚したもの同士というのもあり意気投合。

そして、嫁の今のパートナーは僕という、
つまりはT君と同じ(かは不明だが)
FTM性同一性障害ときたもんだ。

偶然と偶然がいくつも重なり
そして僕は T君、というより T先輩様様 と
知り合うことができたのだ。

呼び出しておきながら、抜けられない仕事が入った僕は
30分遅れて 現場に到着。
いくら 治療のビフォーアフターの写真は見ていたといえど 
“実物”にお目にかかるまでは正直緊張した。

ほんとうに男に見えるのか?とか
治療のせいで 健康は大丈夫?とか
下半身はどこまで治療してるのかな?とか
戸籍はどうしてる?とか
どこまで突っ込んで質問していいのかな・・・とか
ご家族の反応はどうなんだろう?とか

実際あまり考えてはないけど
僕にしてみれば

 “自分のやりたいけどできなかったことを、とっくに実行している人”

に出会うわけだから、そりゃあ 気持ちははやるばかりだった。

“遅くなってすみません!!” 

と登場すると
T君、Aさん、嫁がすでに和気藹々と話している。

そこにはホルモン治療中にもかかわらず

"そんなの関係ねー” とばかりに
酒を片手に タバコをふかすT君の姿が。
(※決して推奨はしていませんよ!)

僕は、カッコ悪いのを十分承知で
ちょっとだけいつもより "男らしさ”を意識して
その場に登場してしまったように
今になって思えば感じる(笑)

なんて僕はイタイ30歳のオトコオンナなんでしょーか w

反面、どこかで “彼には叶わない” のだから
変に男ぶるのは絶対やめよう・・・と
行動をいつもより自粛している自分もいた気がする。

いずれも T君からしてみれば
どうでもいい "女々しい” 試行錯誤なのだろうけれど(笑)

僕って面倒くさい性格。 性別以前の問題だねこれ w
こういうところが AB型なのかも(爆)

T君は、笑顔がかわいく あっけらかんとしていて
別にマッチョでも男らしさを強調しているわけでもないけど
どこか男気あふれるお兄さんといった感じ。

声は男性にしては高いかもしれないけれど
仕草、話口調、態度、見た目、性格、思考
どれをとっても、”男らしい” のではなく

普通すぎる “男” だ。

しつこいよーだが

ふっつぅーーー にそこら辺にいそうな男 (失礼!!)

僕が 治療する・しないで悩んだり
女で生きていける方法を模索していたのが
FTM(性同一性障害)だったが故のことだったとすると

彼は、単純に “男” だから

迷うとか、女で生きていくとか
あーだとか 迷うとか じっくり考えるとか 
そういう過程さえ 存在しなかったような

そんな所感だった。

きっと彼も、 23歳当時、治療の前後は
今は忘れてしまっているかもしれないけど
色々葛藤もあったかもしれない。
迷いもあったかもしれない。

しかし、はじまりは同じだったにせよ
僕と彼の歩んだ道のりは
真っ向から違っていた。

つまり、

僕は、何かをしたいと思ったら

失敗しないよう・後悔しないよう・最善のものを選ぼうと

情報収集、分析、再考 を繰り返し
そのスパイラルをぐるぐるし続け
そして時間だけが過ぎ行くパターン。
過剰なまでの準備期間のせいと、
完ぺき主義がゆえに、創作や実行時間にあまり時間がさけず、
結局中途半端な作品しか作れないパターン。

そもそも 最善 などというものは
その人が判断するものだから
絶対的な答えなど めぐり合えるはずもないのに
そんな無謀なことに挑戦する 僕の体質の問題なんだけど。

しかしT君には 良くも悪くも限られた情報しかない。
インターネットもしないし、昼の世界にもいない。
入ってくるのは、実践した人たちの言わば"口コミ” だけである。
しかしそれは、彼や僕らにとって
一番重要で必要な情報でもあるのだから
まずはそれでやってみる。
失敗したら、またやり直す。 それがT君のスタンス。

つまり

僕は 徹底的に情報集&分析派 ご利用は計画的に派 (笑)

彼は 口コミや仲間の情報をベースに、
まずはやってみて 駄目ならそのとき考える派


だ。

持って生まれた性格もあるが
どんな生活環境、家族環境にいるかで、これだけの違いができる。

ただし、僕が情報収集と分析を繰り返し、模索している間に 
確実に10年という月日が流れたという現実はかわらない。

もしかしてその途中で 死んで
悩んで迷っている間に終わっていた可能性だってあるのは事実。
そう考えると 正直

オソロシイ。

死ぬのがオソロシイのではなく

迷っているだけで実行せずに時間切れになることが

オソロシイ。

僕がそんなことをしている間にも
治療のガイドラインやFTM、GIDという言葉もろくにしらないまま
迷わず仲間の口コミを頼りに闇で治療をはじめ
しかし日々なんの後悔もなく
いつ死んでもいいと思って生きている彼がいる・・・・

というよりかは、

やりたいことも、今やれることも既に実行してるから 
いつ死んだら・・・という
発想すらないのかも知れない。


生きるということと死ぬということが
考えてどうこうという事でもない・・・
そんな感じだろうか。

もちろん、闇でのホルモン治療や
限られた口コミ情報だけを鵜呑みにし
喫煙と飲酒を節制せず、特に健康に気をつかわず生活する彼は
いつ爆発してもおかしくない爆弾を抱えているのかも

・・・というのも事実。

その時に、もしかするとはじめて、
独断で治療をしたことを後悔するかもしれないし
あるいは そうなったとしても今とかわらず
好きなように生きてきたから それでいいと思うかもしれない。

はたまた 大方の予想に反し、
ぴんぴんと90歳まで生きるかもしれない^^

つまり、いくら仮説をたてても 何もはじまらないし
比較をしても どうにもならない
ということではないだろうか。

"親には何て言ったの?治療の副作用は考えなかったの?”

という問いにも

親には同居にもかかわらず 何も言ってないし、
治療の副作用とかも あまり考えなかったと。
胸をとったのは、夏 寝ている間にTシャツがめくれて
バレてしまったのだとか w

なんて軽率な?? と言えばそれまでだが

実際にやってみなきゃ 何も変わらない 考えても仕方ない

といえば そうである。

"結局は自己満足のためだから ^^"  と言った彼の一言が忘れられない。

そう、結局は "自己の満足" が何かを決めるのも 知っているのも己のみだし
人生とは飽くなき自己満足追求の旅と言えばそうである。

3時間足らずの短い時間だったけど
確実に僕の中で何かがかわった。

2歳、3歳で 性別違和を感じ
なんとかそれが親にバレないように
ぎりぎり30年間も女を演じ続けた僕
こうと決めたらまっしぐら!な性格の反面
どこか優等生気質が抜けず
ハメをはずせず 辛うじて女として会社員を続ける僕

中学になってからはじめて性別違和感を覚え
専門学校卒業してまもなく テレビでオナベバーの人を見て
すぐにその門を叩き、そこからまっしぐらに治療を開始し
すでに10年近く男として生活している彼。

ブログというものの存在やGID/FTMという言葉さえ知らず
日々をとにかく楽しく 自由に
そして 現場重視で生きている彼

もちろん、すでに治療している人の中にも
インターネットや書籍で情報を収集してから実践した
人もいるだろうけど

彼のぶっきらぼうさと潔さに
今まで出会ったどの男性(純粋な男)より
男気を感じてしまったのは事実。

Aさんによれば、T君は老若男女問わず
ほんとうに職場でも人気があり
頼りにされており、ファンも多いのだとか。

この人の懐の大きさと 楽天的であっけらかんとした性格。
ちょっと一緒にいるだけで、なんだか自分の悩みが
ほんのちっぽけに思わせてくれる彼。

人気があるのも当然だ。

しかし 兄弟や家族も多い彼に比べ
一人っ子で母子家庭の僕。

そこで 人生の決断がかわってきたとしても
それは 仕方のないことだとは思う。

僕も何度も

兄弟がいたり 大家族だったら
とっくの昔に 治療に踏み切れていたのにな・・・
そう思うことは実際に多々あった。

それが言い訳だったとしてもね。

しかし

一人で面倒を見ないといけないおかんの老後や 
今の僕の家族や、将来もらうかもしれない養子の保護者としての責任
そして嫁のご両親の面倒などを考えると

単純に自分の願望だけで
命を縮めかねない行動に
そして、健康面だけでなく
健康保険や生命保険、住宅ローンや社会保険など
まだまだGIDに対して法整備もすすんでいないなかで
一家の主が 社会的に不利になるようなことを自らするのは・・・

そうやって色々な側面から考えると
簡単には治療に踏み切れなかった・・・というのが
ぼくの正直なところだ。

これは、まったく個人的な意見ではあるし
万人が同意する必要もまったくないけれど

僕自身は、自分の嫁や家族は当然のことながら、
自分の親だけでなく、
嫁のご両親の面倒も見れるくらいの人になるということに

男としての責任を感じ
そういった甲斐性に美徳を感じてきた。


僕の中での定義ではあるが
男らしさとは 義理と人情
そして何よりも甲斐性だと勝手にだが思っている。

だから、自分もそうありたいと願い続けてきた。

だからこそ、"自分の満足のためだけの治療” というものに
踏み切れなかったとうのは

言い訳に過ぎないだろうか・・・・

それでもやはり 
こんなことを考えること事態が

意気地なしの女々しい
男みたいなオナベの女で
男として生きていく資格がないというこに

なるのだろうか。

いずれにせよ

"彼” のように 
社会の中で 完全に男として生きているT君は

僕が彼に対してどんなことを思おうと
自分の日記?ブログでどんなつぶやきごとを書こうと
まったく気にもとめないだろうし

そして、この世の誰が
自分のことをFTMだと自称しようと
他のFTMさんやおなべさんが
他でどんな悪態をつこうとも(笑)

それで自分の人生に迷惑がかかるなんて考えないだろうし

自分の好きなように生きている人だから

誰かを誹謗中傷することは
一切ないだろうということ。


"人それぞれだからね^^ 
 でも、やらずに後悔するより やって後悔かな”

それだけを言い残し 夜の街へと消えていった彼。

きっと 僕らの願いは同じ 
でもその過程はま逆。

だけど 人それぞれ!ということで

再び合致することができ

なんだかとっても有意義な時間をすごせたように思う。

結局は どんな生き方にせよ
自分に嘘をつかないで 自分らしく生きている人は

周囲が 社会が まわりが なんと言おうと

誰かを決して 誹謗中傷することはないんだなと
彼を見て、そして彼の男らしさを見て、改めて思いました。

世の中には 当然
そして FTM当事者さんからでさえ

どうせFTMは女だとか
ああいう奴がFTMを名乗ると迷惑とか

とか

思っている人もいるかもしれないけれど

”今度海外で下半身も手術して 戸籍変更もする予定~”

と、一般男性への道を着実に歩みつつも

ほとんどのお客さんに もと女だということを隠していない彼。

男が男・・・ではないかもしれないけど

FTMがFTMに惚れた夜でした。


※※P.S.
今やインターネットの普及で、情報の洪水は 
もはや無限に近いものがある
そのすべてを知ろうとしても
把握しようとしても無理がある

自分に必要な情報はどれか
あふれる情報の中から いかに限られた時間で取り出し
そして自分の人生に最良の形で当てはめていく
利用していく ということが
改めて大事だと感じました。

無知なことによる 差別はなくしたい
ただ、あふれる情報に翻弄されすぎて
惑わされることのないよう

生きて生きたいとけーじろーは思いました。

photos by keijiro

flickr-keijiro.jpg 写真館へ行く

My Music

  • ミート・ザ・ブルーハーツ~ベスト・コレクション・イン・USA
  • THE BLUE HEARTS
  • ザ・ベリー・ベスト・オブ・ユニコーン
  • リンダリンダ/僕はここに立っているよ
  • Greatest Hits, Vols. 1 & 2
  • 君は誰と幸せなあくびをしますか。
Powered by Movable Type 4.2rc2-ja

最近のコメント

Creative Commons License
このブログはクリエイティブ・コモンズでライセンスされています。