最後の難関

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僕には子供がいない
娘も息子もいないし
兄弟も姉妹もいない

だから

父親たるもの
母親たるもの
姉妹たるもの
兄弟たるものが

娘を姉を妹を
嫁にやる気持ちなど
想像できる範疇のことではない

だが少なからず
もしも元彼女が嫁に行くということがあれば
それが限りなくそれを理解する
もっとも一番近い例のような気がする

僕は何を思うだろう・・・

きっと

複雑だと思う。

正直気持ちがない相手だったとしても

胸が痛い 

というよりか

なんだろう・・・

頭では喜ばしいことだとわかっているし
喜んであげたいと思っていたとしても
なんだか解らない切なさと惜しさと
なんだか解らない悲しさで
胸がいっぱいになるだろう


だけど

それ以上に

心の奥の奥では

絶対に絶対に
幸せになってくれ!!

そう思うだろう。

おまえが選んだ相手を

信じようと思うだろう。

そう思わないと
きっといてもたってもいられなくなるだろうから。

じゃあもし

僕に娘がいて
僕のような人と付き合っていたらどうだろう。

もしかしたら
最初は男に取られるよりマシと思うかもしれない。

きっと

娘自身が
男を好きじゃないとか
純男が嫌いな子だったら

仕方ないと思えるだろう。

でも

もし男が好きなのに
たまたまFTMだったら
どう思うだろう・・・

こんなことを書くのも言うのも
自分に対しても
FTMの人たちにも申し訳ないとは百も承知だが

きっと

なんで寄りにもよってあいつなんだ!!

そう思わずにはいられないだろう。

もちろんそれは
FTMという場合に限らず

もしかしてどんな人だったとしても
何であいつと・・・
と思う親だって多いだろう。

仮に僕が

どんなに稼ぎが良くて
どんなに人間的に信用できて
どんなに誠実そうで
どんなに気に入られるような人間で
どんなに一般の男の人より男らしくても
どんなに一緒にいる娘が幸せそうだとしても

娘が体験するであろう

社会的な不安定さ
世間からの視線
子供が作れないかもしれない現実

そういう事を考えたら

反対しない親はいないだろう。

もちろんそれは娘を思ってのことだろうけど。

僕が
どこからどう突っ込まれても
普通の男よりも
何倍も何十倍も
例え優れていたとしても

僕が女で生まれてきたという事実によって
どうにもならないことは
現実としてある。

もしその壁を
唯一超えられることがあるとすれば
それは

僕自身が
相手のことを
どこの誰よりも心の底から信用し
心の底から僕といることが相手にとって幸せだと
確信でき

そして

一緒にいる相手も
僕のことを
どこの誰よりも
心の底から一緒にいたいと思っていて
心の底から一緒に乗り越えて行こうと

そう思っていなければ

きっと

乗り越えるのは難しいんじゃないかな・・・

そんな気がする。

もし二人の気持ちに迷いがなければ
不利な条件とかがいくらあったとしても

きっとそれは
いつかご両親にも通じる

そう思う。

僕は背もチビだし
力だってそんなにないし
はっきりいって
もし僕が

娘さんを下さい!

なんて言ったら

怒られるというよりは

え?君何いってるの?女の子でしょ~

とか笑われる位かもしれない。

マジな話にさえならないくらい
きっと男に見えないだろうから

僕自身

自分がどれだけの器で
どれだけの強さや弱さを持っていて
どれだけ本物の男?に近いとか
そんなのわからない。

近いとか近くないとか
そういうの比べるのもあまり意味はないんだろうけど・・・

だけど人間って

いざって時に出るような気がする

思いの強さとか
自分の持ってる弱さとか強さとか
自分の中の自信のない部分とか
誰にも負けないかもしれない何かとか

いざって時に
本当の自分を知るような気がする

いざって時に
本当の相手も知ることになる気がする

そんなものを僕自身が知った結果

僕は無理だって思うかもしれないし
僕しかできないって思うかもしれないし

だけど思う。

もっと強くなりたいって。

体の強さは限界があるけれど

心の強さに限界はない。

そんな気がする

人なんて
いつどうなるかわからない

だからこそ
どんな状況にも
どんな変化にも
どんな危機一髪な状況にも負けない

強い心を持ちたいと思う

いざって時に見る自分に失望したくない

何より自分自身の為に。

そういえば昔不妊治療の会社で働いていた時
凄いなって思う男性と出会った。

彼は男前で性格も良く
本当にいくらでも彼女なんてできるでしょ!
という人

だけど

彼の奥さんは
生まれつき子供が生めない人だった。

だから
二人はアメリカまで
代理出産をしに来ていた。

彼女の子供を生むことは無理だから
せめて彼の遺伝子を持った子を
二人で育てようと思ったのだろう

その事自体は賛否両論があるだろうが
僕が凄いと思ったのは

それを知った彼が
家族や親戚からの反対にもまけず
彼女を守り通し
逃げないで
その現実を受け止めた上で

彼女を愛し続け
一緒になることを決意したということ。

なかなか若い男女にできる決断ではあるまいと

そんなことをみじんも感じさせない
本当に明るくて
前向きで
そして
仲良しな二人を見ていると

二人を乗せて運転していた僕は
とても清清しい気持ちになった
心がホカホカしてきたのを覚えている。

二人の絆も
彼自身も
彼女自身も
いざって時にも
負けなかったんだなって

そう思った。

良くやったのは彼だけじゃない。
彼の子供を生んであげられないことを知りながら
それを背負う彼の葛藤からも目を反らさずに受け止め
背負っている彼を信じる抜くということができた彼女だって

あっぱれだ!

もしきっと彼女が妊娠できる人で
ある日突然
彼が交通事故で
動けなくなっても
きっと彼女も逃げないで
いてくれるんだろうなぁ・・・

なんて
ちょっとだけ思った。

もちろんこの事実が原因で
彼が別れを選んでいたとしても
僕は責めるつもりもない

それは一つの選択として
尊重されるべきだと思うから

実際に
不妊が原因で離婚した人たちを
僕は複数知っている

悲しいことだけど
そういう現実はある

大なり小なり遺伝子を残したいというのは
人間のDNAに刻み込まれているであろうことだから

現に僕だってそうだし(^^;

こんな遺伝子残すな!!

って言われそうだけど(笑)

遺伝子を残す残さないは別としても
僕が生きている間に
日本で同性結婚が認可されるかは微妙だけれど
せめて家庭がない子供たちの
里親になれないかとは思う

これだって僕のエゴだろうし
自己満足の偽善行為かもしれないけれど
もし僕がいることで
僕の下手くそな料理だったとしても
愛情を感じてくれて

ジジイ うめーぞ!

って言ってくれて

少しでも

幸せだな!

って思ってくれる子供達がいるのであれば
僕は心の底から自分の子のつもりで
できる限りの事をしたいなぁと思う

言うのは簡単で
実際に子供がいたら

やーーーーーーーーーー!!!!

ってあったまくることだらけで
投げ出したくなったりするんだろうけど。

犬一匹でこんなに大変なんだから(笑)

まっ(^^)

人は
傷つけたり傷ついたりして
だけどそれをプラスの力に変える事のできる
凄い生き物だったりするわけだから

大したもんです(笑)

photos by keijiro

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