ノンホルFTMとして生きて行くことの大変さ、不便さ(女子便?男子便どっちつかう??)

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僕は今日、
男でも女としてでもなく、
第三の性、もしくは中性として、
生きて行くことの大変さや不便さを改めて実感した。

僕は今の所、体は生まれたときの状態のままで、
XX染色体を有する、生物学的には女である。
そして、今の所、それを治療やホルモンで
男性化する予定はない。

しかし、心の性(というものが存在するのであれば)
昔も今も。。。
それは男のままである。
いくら僕が、男性や女性という枠や概念にとらわれず、
“ありのままを、あるがままで生きて行く”
決意表明をしたところで、
現在の世の中は、国や人種の壁を越えても
恐らく全ての文明社会において、
男と女というものはきっちりと二分されているため、
自分一人どちらにも属さないスタイルというのを
維持し続けるのは、非常に困難である。

公衆トイレ一つをとってみてもそうだ。
設置場所によっては共有の場合もあるが、
駅やデパート、学校や公園などをとっても
ほとんどが男と女に二分されている。
そして、自分の生まれてきた体の性と
心の性に対して何も違和感がない人間にとっては
当然のことであり、一番多くの人が心地よいと感じる
方法であることは疑う余地もない。

何年か前だろうか、
僕の住んでいる、アメリカのサンフランシスコでは、
FTMトランゼクシャルの人が、まだ完全に男になっていなかったため、
いつもどおり女子便に入ったところ、
中にいた女性が、変質者だと思って
大声を出し、外にいた彼氏に助けを求めた所、
助けに来た彼しに、このFTMの方が暴行を浴びるという
事件があった。
その事件依頼、ここサンフランシスコでは
これから新しく建築される建物には、
中性用のトイレの設置を。。。などと
検討されているが、
暴行を加えた男性にしてみれば
変態だと思った男を退治しただけなのだから罪は問えまい。

しかし、僕のような人間にとっては
このトイレ一つにしても敏感にならざるを得ない場所である。
昔、僕が20歳ぐらいだったころ、
僕はどっからどう見ても男にしか見えない時代があった。
当時の僕は、心の性と体の性をマッチングさせようと必死だったし、
ホルモン治療も視野に入れて行動していたことの結果だったと思う。

だから、女子便所に入ると、
“あ、間違いました”といって女性の方が逃げてしまうこともあったし、
掃除のおばちゃんに
“あんたここは女子便だよ”と怒られることもあった。

だから、公の場でトイレに入るときは、男性用の方が
問題がなかったのである。
だけど、ホルモン治療をしていない僕にとって、
男子便所に入ることもとっても勇気がいった。
もし女ってばれたらどうしようと。。。
だけど女子便に入れば99%以上の確率で男が入ってきたと思われ、
変態扱いを受けるのだから、それだったら男子便にこっそり入った方が
目立つ確立は少ない。
だから20歳ごろの僕は、かなりの確率で男子便に入ったりしていた。
そもそも、僕が住んでいるサンフランシスコのトイレに
入る場合は、土地柄めちゃめちゃバリタチのレズビアンの姉ちゃんや
スキンヘッドのコワモテのFTM?っぽい人も
多数女子便にいるので、特に問題になることはなかったのだが、
韓国に短期留学していたときや、ヨーロッパに旅行に行ったり、
日本に帰国しているときなどは、必ずといって良いほど
女子便で奇妙なまなざしを浴びせられたのだった。

しかし、僕を変な目でみたとしても
彼らには何の罪もないのだ。
生まれてからずっと
世の中には男と女がいて、
男は通常こうこうこういう髪型で、服装で、行動でと教えられ
反対に女とはこうこうこうだと無意識のうちにも教えられてきたのだ。
それを基準に考えたとき、反対の性の人間が
トイレに入ってきたら、そりゃあびっくりしても仕方がない。

そして28歳になった今、僕は相変わらず
FTMであるのにもかかわらず、
ホルモン治療もせず、女の体のままで生活している。
老けたのか、大人になったのか、
はたまた開き直ったのか、
僕は今、中途半端なままで、
男だとも女だとも決めずに生活している。
そして生活していく上で、なるべく不便がないようにと、
極力トイレで困らないようにと、

女という要素を一切排除しつつ、
ギリギリのところで 女に見えるような
ぶっちゃげわけのわからない所でおさまっている。

だからだろうか、たまに無償にストレスを感じるときもある。

もしかしたら、今の僕はありのままじゃないのかもしれない。
無理して、生まれたままの心と体で納得しようと
必死に中性を演じているのかもしれない。

それは僕にも誰にもわからない。

本当なら、さっさとカウンセリングに行って、
一日も早く治療を開始したほうがいいのかもしれない。
それがもしかしたら僕にとって幸せなのかもしれない。

だけど、まだ僕は迷っている。

僕は来年早々にも日本に帰って
就職活動をするつもりだ。
今まで就職しようと思わなかったのは、
リクルートスーツや会社の制服の問題があったからなのだ。

もし僕が男で生まれてこれていたなら、
僕はとびっきりお洒落なスーツを着て
エリートサラリーマンを目指していたに違いない。

だけど、女のスーツを着ることもできず、
男のスーツを来て、100%男として生きていく勇気もない
中途半端な僕は、どうしても正装ができないでいた。
そんなちっぽけなことと思うかもしれないが、
女の服を着ることは、僕にとっては
ありえないことであり、体調を崩しかねないほど
ストレスになることである。
しかし、男性用のスーツを着て、ホルモンなしで生きていけるほど
世の中は便利に作られていない。

どっちかに決めないと どっちかに属さないと


非常に不便な世の中なのだ。。

こういう事を考えると
僕には自営業しか道がないと思ってしまう。
だけど、逆に言うと
こんなことで
選択の枠を縮めたくないのだ。

僕がこうやって悩んでいると
皆が言うことは

“パンツスーツ着たら?”

である。
ごもっともで、大変ありがたいアドバイスである。
友達の結婚式の時も同じように悩んで、
同じように回答を貰った。

だけど、いくらズボンだからといっても、
所詮女性用に作られたもの、
腰の辺りがキュッと絞られているのがほとんどで、
ジャケットも右上で重なるし、
胸の部分がきちんと余裕があったりするし、
とにかくいくらズボンでも女の体系を
しっかりと考えた作りなのだ。

だから僕はそれを着るのは正直抵抗がある。
どうしてもといわれれば仮装のつもりできるが、
ほんの少しでも女性を意識させるような
デザインや縫製のものは落ち着いて着ていられないのだ。

だけど男性用のスーツでは、まるで
男になってしまうため、女子便にすら入れなくなってしまうのだ。

こんな、どうでもいいことかもしれないが、
僕にとってはすごく重大な問題が
今の僕を再び襲っている。

いくらどんなに頑張っても
今の世の中で
中途半端な性、中性、第三の性を
生きていくことが、
どんなに大変なことか
思い知らされる今日この頃である。

photos by keijiro

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